平成6年
後期
人情もろい情けのこまやかさで
部下たちに信頼された秀吉
信長は敵を許さず、多くの人を殺した。必ず殺されると知った敵は、死力を尽くして戦う。敵を滅ぼす度にまた新たな敵を増やしていった。
秀吉は、人を殺さず敵を許して封土を安堵することよって、味方を増やした。
戦の最中、照りつける熱暑に苦しむ負傷兵に、秀吉は附近の農家から大量の『すげ笠』を買い、敵、味方関係なく『かぶせて』回った。負傷兵たちは秀吉を『思いやりのある情けのすげ笠大将』と涙を流してほめたたえた。
戦地から、信長、秀吉、家康の三人の妻へ出した手紙の内容を見ると、信長は、戦の内容を中心に書いており、家康はほとんど政治的な内容のもので、秀吉だけは、肉親に対する情愛を込めたものが多い。
信長はもとより、家康などとは、秀吉の情愛の深さはくらべものにならなかったようだ。
いつの世も人情、情けのある人は、人に慕われ信頼されるのではないだろうか。
【文:高田 金道】