豊臣秀吉が小田原の北条氏を攻めた時、包囲戦になり、戦が長引いた。武士たちは退屈し、ある陣では土を耕し青菜を植えている者がいたり、また芸能にうつつをぬかしている者達まで現われた。秀吉側近は怒った。「こいつらは合戦をなんだと思っているのか。弛んでいます。罰しましょう」
秀吉は首を振った。「考え違いをするな。あの連中はゆとりがある。かえって立派なものだ。長い戦いで退屈しないようによく考えている。合戦一途に生きることなく、自分の好みを生かす、“ゆとり”人間だ。お前達も見習え」 現代社会の“仕事人間”ではだめで、どんな状況におかれても自分なりにゆとりを発見し、実行する精神が大事だということを豊臣秀吉は言いたかったのである。
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