戦国の売れっ子軍師、竹中半兵衛。どうしても部下に欲しいと秀吉は、半兵衛の屋敷にしつこく足を運んだ。
半兵衛はあまりにしつこいものだから、たかが足軽頭のくせにと思いながらも「ひやかし半分」に「あんたはどれくらいの賃金で俺を雇おうとしているのか」と秀吉に訊ねた。秀吉はなんと「自分が信長様から支給されている給料を全額支払う」と言ったのである。これを聞いた半兵衛はびっくしり、この男は懐の大きい人物だ、将来必ず大物になると直感的に思い、ついには秀吉に惚れ込み部下になった。
美濃の国の斎藤家という、今で言う大企業のエリート社員が、織田家という中小企業の平社員の部下になるとは、信長を始め織田家の各武将達もびっくり。さすが秀吉だと誰もが驚いた。
自分に大きな痛みがあっても、相手が本当に喜ぶことは何かと常に考えるという、秀吉の人の心をつかむ行動であった。
今の世の中でもなかなかむずかしいことだ。 |