戦国新報
 
 
平成14年 前期
【 H14.1.27】
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辛抱強く耐える
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  消防署に勤務している人は、前触れもなく夜中と言わず明け方と言わず電話がなると出動しなければならない。常に緊張しながら時を過ごす仕事だけに大変である。
 戦国の世、秀吉は一介の百姓から信長の草履取りになった。夜中でも明け方でも突然飛び出す信長の草履取りの仕事は、決して楽なものではなかったと思う。
 また信長は常に人の才能をさぐる心を持っており、仕事に対する回答をためしたりした。要するに使える人間か使えない人間なのか、部下にするためには才能があるのかないのか、見極めるための見習い期間のような使い方をした。秀吉はそれに決してくじけず辛抱強く耐えて信長の期待に応えたのである。
 天下を平定した秀吉の華やかな時代は誰でも歴史で知っているが、真冬の軒下で信長のために犬のようにうずくまって、草履を暖めた藤吉郎を忘れがちである。
 今の世も、不況のきびしい時代だからこそ、辛抱強く耐えてがんばることが大事なことではないだろうか。だが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】