戦国新報
 
 
平成12年 前期
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敵に学ぶ…
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 「他人のふり見て我が身を正す」という言葉があるが、世の中、他人の良い面を学んだほうが自分のためにもなるのではないだろうか。「学ぶ」ということは「マネる」ということのような気がする。
 スポーツの世界でも、なぜ相手に勝てないか、また人間関係でもなぜあいつとうまくいかないのかといった場合、一歩引いて謙虚に考えてみると、原因がよくわかるような気がする。つまり「敵に学ぶ」「敵の優れているところをマネる」といった姿勢があってこそ、その人の人生が大きく変わるような気がする。
 徳川家康がそのいい例である。幼いころからの人質生活。関ヶ原の合戦、大阪夏の陣、そして天下を取るまでの間、信長のやり方、秀吉のやり方をいろいろ学んだ。戦に負けた時、その原因は何か、勝った時は決してうぬぼれることなく、常に前向きに敵の戦法の優れているところを自分の戦術以上に考えた。「敵に学び」負けて知ることに全力を尽くした結果、ついに天下を取り、徳川二百七十年の基礎を築いたのである。
 不況の世の中、他人の良いところは「学ぶ」「マネる」という気持ちで一生懸命努力することによって、良い結果が生まれてくるような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】