戦国新報
 
 
平成12年 後期
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短期は損気
すすむ
 世の中には「気の長い人」と「短い人」がいる。一般には気の長い人は入浴ひとつをとってみても、風呂の中で鼻歌を唄いながらゆっくりとつかっているようだ。短気な人は熱い湯にサッと入ってサッと上がる。長くじっとしているのがじれったいような気がする。
 戦国の世、気の長い武将は家康、気の短い武将は信長であった。信長は天才肌でカミソリのようなするどさを持っていた。もし、「短気コンクール」があったなら優勝していただろう。「短期は損気」「急いては事を仕損じる」ということわざがある。また「そのスピードが死を招く」という交通標語もある。信長の生涯は、天下を目の前にしてその「短気」な性格が身を滅ぼしたようだ。一方、気の長い家康は、徳川二百七十年余という平和な国造りをしたのである。
 世の中、不況になると気持ちがあせることもある。あせるということは気の短さにもよるものであり、気が短いと視野が狭くなり、冷静な判断力を失う。そのため失敗することが多くなるような気がする。短期をおこさず急ぐべからずと思うが、今はスピード時代である。スピード時代だからこそ、急ぐ気持ちもわかるが、短気をおこさず冷静な判断で見極めることが大切である。短気は損気、我慢強い人が望んだ物を獲得するということがあるが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】