戦国新報
 
 
平成12年 後期
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「親友」とは「真友」であり「信友」である
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 「親友」という言葉があるが、字のごとく親しい友達ということだが、ただ仲がいいということでは本当の意味での「親友」ではない。「親友」は「真友」であり、何事も相談しあえる友であるような気がする。不遇の時には励まし、絶頂の時には忠告できる友こそ本当の「真友」である。
 戦国の世、加賀百万石の祖、前田利家は、秀吉と同じく信長の家臣であった。秀吉は草履取りからのスタートだったが、利家は武家の生まれであり、信長の側近でもありエリートであった。その利家が信長の側近とちょっとしたことから争いになり、切り捨てたことに信長は怒り、やがて利家は逃亡する。エリートの利家も一転、織田家に出入り禁止となった。この時、利家は、今までずいぶんと親しくしてきた者達が、全く顔を見せなくなったことで、誰が自分の一番の「親友」か悟った。秀吉だけは毎日のように顔を出し、毎日のように相談にのってくれた。やがて信長に最も信頼されていた秀吉の仲介によって、利家は無事織田家家臣にもどることができた。利家は秀吉の手を取り涙を流し感謝した。そして二人は今まで以上に深い絆ができた。
 信長が倒された後、秀吉は柴田勝家と、賎ケ岳で合戦することになった。勝家が有利な戦いだったが、この時、勝家の配下の大名だった利家は、秀吉に協力する行動を取った。その結果、戦いは秀吉の勝利することとなった。この時の利家「命がけ」の友情があったからこそ、秀吉の天下統一への足がかりができたのである。お互いにこういう「親友」を持つことが財産であり、「親友」は「真友」であり「信友」である。
 不況の世の中、不況を乗り越えるためには、「親友」とともに力を合わせ、知恵を出し合ってがんばることが大事なような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】