戦国新報
 
 
平成11年 後期
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三杯のお茶の気配り
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 どんな商売でも、本当にお客様のことを考えるのなら「こんなことぐらいほっておいてもいいじゃないか…」と思うような「小さな事」こそ大事にしなければならないような気がする。小さな事に気づかないようでは「大事なお客様」を見逃してしまうような気がする。ちょっとした「気配り」がお客様の気を良くさせる。
 戦国の世、秀吉が鷹狩りの途中、喉が渇いて近くのお寺に立ち寄った時の話である。小坊主は最初、ぬるいお茶を大きな湯呑みに並々とついで持ってきた。秀吉はこれを一気に呑み干し、もう一杯所望した。すると今度は前よりも熱いお茶を持ってきた。秀吉はうまそうに呑み、みたび所望すると、今度はさらに熱いお茶を持ってきた。喉が渇いている時に熱いお茶を出せば、一息に呑んでしまうと火傷してしまうという気配りから、徐々に熱いお茶を出したこの小坊主に秀吉は深く感心した。後日、自分の家来にしたというこの小坊主は、後の石田三成であった。
 不況の世の中、不況だからこそお客様にとって「小さな気配り」が大事なような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】