本当の友情は相手の短所を刺激するだけでは長続きはしない。長所を刺激するためのアドバイスが友情あふれた忠告のような気がする。しかし短所に目をつむるのではなく、長所をさらに引き出すという好意によって、友情が長く続くのではないだろうか。
戦国の世、暴君の一面が強かった信長は、反面、行動派であってすぐれたリーダーであった。光秀は教養があったために主君の信長に対して「殿を思えばこそ」と忠告ばかりしていたため、逆に信長に嫌われ、本能寺の変を起こすのである。
一方、秀吉は、信長の短所には目もくれず、信長の圧倒的なリーダーシップに惚れ込み、献身的に尽くし信長の信頼を得たのである。知的には光秀にかなわなかった秀吉は、知恵を持っていたために、人間的には光秀より勝っていたような気がする。
我々も他人のことは、つい短所ばかり目につくことが多い。できるかぎり他人の長所を引き出すことに努力しなければならないと思うのだが、なかなかむずかしいことだ。
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