戦国新報
 
 
平成10年 前期
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秀吉の小さな仕事術
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 バブルが崩壊して大不況の今の世の中、生き残るために誰もが「経費節減」を考える。だが、出す物も出さないでいくら「節約しろ、がんばれ」と口で言ってもなかなか部下達の士気は上がらない。
 ある時、秀吉は信長から炭奉行をまかされた。いわば今でいう庶務部長に抜擢されたのである。「サル。今日から炭奉行だ。節約せい」と言われ、秀吉は炭を節約するためのポイントを考えた。
 まず城内各所、各部屋を毎日巡回した。「もっと炭をお使いください」と口では言いながら、各部屋に何度も足を運び、「炭はいくら使ってもいいが、まず外に出て仕事をしろ」と言い回った。特に炭を一番使う冬場は、信長に野外演習を多いに進め、部下達がなるべく部屋にいられないようにしたのである。
 このような小さな炭の節約が年間を通すことによって、大きな節約につながり、こうした秀吉の仕事のポイントをしぼった計画が、いままでの赤字財政から大きな黒字に変わったのである。
 小さな節約でも、チリも積もれば山となるという言葉のように、やがては大きな節減になるし、物を大事にするという心構えもできるような気がする。今の世の中にも応用できるような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】