戦国新報
 
 
平成10年 前期
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秀吉のするどい先見性
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 秀吉は信長に仕える前、今川家に一度就職している。今川義元社長は駿河の大国で伝統を誇る家柄で、今で言う大企業である。だが秀吉はこの大企業を辞めて、当時一地方の弱小勢力にすぎなかった信長に再就職するのである。
 秀吉が今川家を辞めた原因は、トップの資質のなさを見抜き、先の見込みがまったくないと判断したからであった。織田家は今でいう地方の中小企業にすぎなかったが、急速に成長してきていた。
 秀吉は信長の、能力主義で、家柄や身分にとらわれない人材登用の仕方をみて、ここはまだまだ成長する企業だと見抜いたのであった。
 その数年後、秀吉の見込み通り、今川は信長によって滅ぼされ、やがて尾張の織田家は日本最大の大企業にのし上がったのである。
 今の不況な世の中も、先見性を持って行動しなければならないのだが、なかなかむずかしい世の中である。
【文:高田 金道】