戦国新報
 
 
平成8年 前期
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ハチャメチャな秀吉が天下を取り
利口な光秀は三日天下に終わった
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 なぜ光秀は三日天下で終わったか?というよりも、なぜ秀吉が山崎の合戦で勝利したかという方向で考えた方がわかりやすい。
 信長が本能寺で暗殺の報を聞くやいなや、怒とうのごとく主君の仇を討つべく駈けつけた秀吉の勇気と行動力の早さに、他の武将達は舌を巻いた。その行動力に感動し、秀吉の周りはぞくぞくと武将達が集まってきた。本来なら光秀側につくはずの細川、筒井といった武将までも秀吉のもとに参集したのである。
 ネクラで冷血なところがあった光秀と違い、ネアカで常に控えめで、思いやりをもって相手と接していた秀吉は同僚からも人気を得ていた。また光秀のように才能をひけらかすわけでもなく、権力をかさにいばるようなことはしなかったところにも利口(光秀)とバカ(秀吉)の差が現れている。
 バカだから理屈はいらない。自然体で物事を考えられる。利口な人間は常に理屈で物事を考えるからおのずと人望がなくなってくるのである。そんな秀吉の陽気性に魅かれてぞくぞくと人が集まってきたのである。山崎の合戦は秀吉の人望の勝利であった。
 不況な今の時代も、秀吉のようにネアカになって笑顔で明るく元気にがんばることが大事なのではないだろうか。だが、なかなかむずかしいなあ…。
【文:高田 金道】