戦国新報
 
 
平成8年 前期
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世論を気にしなかった信長
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 織田信長は桶狭間の戦いに際して世論に対して反対した。その時の国の世論は「篭城」であった。四万の大軍をわずか三千の兵でいちかばちかの奇襲で迎え討ったのである。平地で戦ったらまず勝てる相手ではなかった。「篭城」して時をかせごう、場合によっていつか味方が現れるかもしれないし、平地の戦いよりは長く持ちこたえられるだろうというのが、信長以外すべての武将、国の人々の世論だったのである。
 ところが信長が、この世論に反して、「そうか、お前達が篭城するというならば、わし一人だけでも行く」と言って、馬にまたがり出陣したのである。「篭城したら必ず負ける。勝負は時の運。一度、奇襲攻撃をかけてみよう」と世論に立ち向かう形で出かけたのである。
 驚いた家来達は次々と出陣するはめになり、信長の奇襲作戦は大成功をおさめることになった。
 今の時代も世論はどこへ行っても不況だと言われます。そしていろいろな困難な面が起こっています。この不況にとらわれてしまうとかえって物事がむずかしくなるのではないか? 不況にとらわれてしまうのではなく、静かに不況を見つめることで案外不況に対処するよい道が開けてくるのでないだろうか。
 実際問題、経営者は部下達にどういう采配をふるえばよいのか、なかなかむずかしい。がんばらなくちゃ。
【文:高田 金道】