戦国新報
 
 
平成8年 後期
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勝ち馬に乗る
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 人には実力だけでどうにもならない事が多くあると思うが、同じ仕事をやっていても「ツキ」のある人は成功し、「ツキ」のない人は失敗する。「勝ち馬に乗る」という言葉はよく聞かれるが誰でも不運な人間よりも勢いのある人の下につきたいものだと思う。秀吉は運の強い男だった。
 墨俣に一夜城を建設中、敵がおそってきたが、天候が急に悪化し雷雨になったため敵の火縄銃が使えなくなり、秀吉側の勝利になった。これを見て蜂須賀小六は、秀吉の運の良さを感じ家来になったという。
 高松城水攻めにしても天が味方した。最初は計画どおり川を止めたが、水はなかなかたまらなかった。その後天候が悪化し、大雨がふり、みるみるうちに水がたまり水攻めは成功した。
 秀吉は時には自分の強運を部下達にアピールした。「運が味方している。この戦いは勝った」まだ戦いが始まっていないのに勝利の宣言もしたりした。ところが苦戦が予想された戦いは、秀吉の思うとおりに勝つのである。秀吉の予言が当たったと、部下達はのちのちまで秀吉の強運を信じたようである。
 だが「運」は天から与えられるものではなく、自分で切り開いていくものではないだろうか。今の時代も良い事があれば運が良かったというし、悪いことがあれば運が悪かったという。なかなかむずかしいことだと思う。
【文:高田 金道】