戦国新報
 
 
平成6年 前期
もどる
人の一生には三回の変わり目がある、
家康の忍耐力
すすむ
 不景気な今の世を、ただ景気が悪いと世の中を批判することよりも、まず発想力、行動力、忍耐力をもってがんばることではないだろうか。だが、なかなかうまくいかないことも世の中だ。今も昔も戦う男にとっては条件は同じということだろう。
 忍耐の神様といえば家康をおいて他にないだろう。幼いころから人質として織田家、今川家を転々とし、ただ耐えることが毎日だった。秀吉が死んだ後も決してあせることなく、十六年もじっと天下取りの機会のくるのを待っていた。
 家康はまた、意味深い言葉を残している。「人には一生のうちに三回の変わり目がある。十七、八歳の頃は友人の影響で悪く変わることがあり、二十歳の頃には物事に慢心が生じて老功の者をなんとも思わぬ心が出る。四十歳の時分は物事に退屈し、述懐の心が現われ悪くなるものである。この三度の変わり目に決して自分を見失わない人を善い人というのだ」
 こうした家康の忍耐力が徳川三百年の礎を作ったようである。
【文:高田 金道】