戦国新報
 
 
平成6年 前期
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戦国時代は弁解よりも耐えることで国を守っ
た家康の驚くべき忍耐力
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 秀吉の死後多くのライバルを押しのけ、天下を掌握した家康は、六歳から十九歳までは、何の希望もない人質生活をしている。大国に挾まれた小国の犠牲となり、生みの母とも別れさせられたのである。この長年の忍耐から覚えた慎重さが、天下掌握の基礎となったようである。
 木材に例えれば、大工職人が家を建てる場合、同じ材木でも陽が当たって成長した木と、陽の当たらない木では年輪の幅が違う。陽当たりの良い木は年輪の幅が広く、やわらかく素直なので、板として使い、陽当たりの悪い木は年輪の幅がこまかく、丈夫なので梁材として使う。
 生存競争の激しい今の時代でも、忍耐によって自分の組織を守っていかなければならない。冷静に状況を判断し、大きく飛躍する時機を待って、生き残る方法を考えることが大切なことだが、なかなか現実はそう、うまくいかないむずかしさがある。
【文:高田 金道】