戦国新報
 
 
平成5年 後期
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水は舟を浮かべるが波たって、
てんぷくもさせる
すすむ
 徳川家康の言葉だが、恐ろしいまでに主人と部下の関係を考えている。水は部下で、舟は主人のことだ。水は舟を浮かべるが、油断をすると波たっててんぷくさせる。主人は舟に乗っていても、つねに水の状況を考えていなければならない。安心していると、風や雨のために水が落ち着かなくなり舟が揺れる。そういう時はどう対処するのか?
 小さい時から今川家の人質で苦労した家康は、部下との関係をよく考えていた。だからこそ天下を取り、二百七十年の徳川時代の基礎を築くことができたのである。
【文:高田 金道】