戦国新報
 
 
平成4年 前期
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信長の意外な一面
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 ある年の春、ぽかぽかと暖かい日、出陣した信長は畑の脇の草むらで寝ていた一人の農夫をみつけた。これを見た信長の部下が怒った。「とんでもない奴だ。ご領主様がこの国に住む人々のために戦に出かける時に、見送りもせずに高いびきをかいているとは許せません。斬ってしまいましょう。」と息荒いた。ところが信長は笑って応えた。「やめろ。俺の国では農民がいつもあのように高いびきで寝ていられるようにしたいのだ。それが俺の願いだ」戦争好きと言われた信長は、実は日本に一日も早く平和をもたらしたい、という志を持っていたことを示すものである。信長が治めた岐阜や安土は、道路や橋が整備された。また信長の治める国では、強盗や人殺しが出なかったといいます。住む人々は夏でも窓や戸を開けたまま眠ることができたといわれています。人々が安心した生活をすることができたのは、まさに信長に絶対の信頼感があったということになります。
【文:高田 金道】