戦国新報
 
 

平成24年 前期
【 H24.1.15】

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一握りの積み重ね

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 どんな大きなことを成し遂げるにしても、小さなことを一歩一歩着実に行なうことこそ重要であり、その積み重ねから成り立っているという人もいるが…。

 戦国の世、苦労して加賀百万石の国主となった前田利家。国を下々まで回って歩き、領民が油に困っていることに気付き、さっそく山の土手にわずかな一握りの「菜種」を植えさせた。翌年実を結び、七升から八升の油を得ることができた。

 小さな一握りの「菜種」から八升もの油を得るということは、人も大きなことを志がちだが、大きな目標ばかりに目を奪われると、目の前の大事な小さなことを「置き去り」にしてしまいがちである。「大事」は「小事」の積み重ねから生まれるものだと、利家は部下達や領民に教えた。

 いつの世も「初心忘るべからず」ということわざがあるが、目標を持って励むことは最も大事なことだ。だが土台となる小さなことを着実にこなしていくことこそ、大きな成果を生み出すための最短の道のような気がするが、なかなかむずかしい。


【文:高田 金道】