戦国新報
 
 

平成23年 後期
【 H23.7.10】

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人の話に耳を傾ける

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 人の話に聞く耳を持つことは大事だと思うが…。
 戦国の世、関ヶ原合戦の前、家康につくか、豊臣家代表の三成につくかで各大名達は揺れ動いていた。
 山内一豊の先輩に堀尾忠氏という武将がいた。若いがなかなかの知恵者であった。一豊は忠氏に「どちらにつくのか」と訊ねたところ、忠氏は「私は家康殿に味方する。そして自分の城、領地をそっくり家康殿に差し上げるつもりだし、人質も差し出すつもりだ。そして私自身、三成西軍と勇敢に戦う次第でござる」と言った。一豊はこの話を聞き感心した。
 そして家康方東軍の会議の席上にて、一豊は一番最初に、忠氏が言った言葉を自分の言葉のようにどうどうと発言した。それを聞いた家康は感動して各大名達の前で涙を流して喜んだ。
 帰りがけ忠氏は一豊に「お主にやられたなあ」と冷やかした。合戦は家康東軍の勝利で終わった。
 そしてこの時の一言で一豊は土佐二十四万石の大名に抜擢された。
 いつの世も、人の良い話や知恵には素直に耳をかたむけ、その話に自分の考え方をうまく取り入れることで今以上の良い知恵が生まれてくるような気がするが、なかなかむずかしい。

 

【文:高田 金道】