戦国新報
 
 
平成20年 前期
【 H20.6.29】
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宝物と期待されるよう励む
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我が社の「宝物」と大事にされると「俺が先に立ってがんばらなければ」と一所懸命に励む人、あるいは「俺がいなければ何もできない」とうぬぼれる人、世の中様々な人がいると思うが…。
戦国の世、天下を取り関白まで昇りつめた秀吉がある時大名達を集めて「わしは世の中の有名な宝をほとんど集めた」と自慢した。そして家康に向かって「あなたの宝物は何か」と聞いた。
家康は「私は幼い頃から人質生活が長く、その間支えてくれた部下達は、私のためならたとえ火の中水の中、命がけで働いてくれる。そういう部下が五百人ほどいる。その部下達は日本中どこへ連れて歩いても恐ろしいと思う敵はおりません。この部下達こそ私の一番の宝物と思っております」と答えた。さすがの秀吉も一言の返答もなかったと言う。
この二人の考え方の違いが、豊臣家は二代目で滅び、徳川家は二百七十年続いたという歴史に表われている。

いつの世も、人のためにつくし、あるいはつくしてもらうためにも、精一杯努力してがんばることで自分のためにもなるし、相手のためにもなると思うのだが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】