戦国新報
 
 
平成20年 前期
【 H20.6.22】
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信頼関係
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仕事の提案を頼まれた時、提出する案はひとつだけではあまり良くないと思う…。
戦国の世、秀吉が伏見城の改築工事を加藤清正に命じた。数日後、清正は二通りの案を提出しどちらが良いか判断を仰いだ。ところがある武将が清正に尋ねた。「あなたは城造りの名人だから、一番良いと思う図案だけ提出すれば良いのでは?」
そこで清正は「殿から命じられた仕事です。決定するのは殿です。もし図案をひとつしか出さないと自分が勝手にこれで良いと決めつけたことと同じで、殿に承認せよと押し付けることになる。言い換えれば部下が信頼され頼まれた仕事なのに殿の頭の上に立っているのと同じ事だ。何事も自信のある物事ほど自分の才能を押し付けたり、上司に物事を教えたりするような態度は、信頼関係がなくなる」とその武将を諭した。

いつの世も、互いに信頼関係があるから物事を頼んだり頼まれたりすると思う。経験があるからとか自信があるからといって他人を見下すようではお互いの信頼関係がなくなると思うのだが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】