戦国新報
 
 
平成18年 前期
【 H18.4.30】
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なんとしても…
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 人は必ず「ピンチ」になる時があると思う。その「ピンチ」をどう乗り切れるかはその人の手腕にかかっていると思うが…。
 戦国の世、今川義元二万五千の大軍を率いて、尾張領内に迫った。「生きるか死ぬか」の絶体絶命の「ピンチ」に陥った二十七歳の信長。兵力は義元の五分の一にも満たない。重臣達は、これで織田家も終わりだ。やはりうちの殿様は「うつけ者」だと騒いだ。だが信長の胸中には秘策があった。この「ピンチ」を乗り切るためには敵の総大将義元ひとりを奇襲し一撃で倒すしかない。そのために義元のどんな小さな行動でも正確につかむことだと、内密に情報を集めていた。そして万に一つの可能性に命をかけていた。
 義元、桶狭間で勝ちムードで酒を飲んで昼食中との情報が入った。信長、「目指すは義元ひとり、いざ出撃」と馬を飛ばし奇襲攻撃をかけて義元を打ち破った。大将を失った今川軍は総崩れとなり信長の大勝利となった。
 いつの世も「ピンチ」になった時、もう「ダメ」だとか「負けた」とかあきらめないで、「まだまだなんとしても」と命をかけ一点集中で全力をつくせば必ず良い結果が開けると思うのだが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】