戦国新報
 
 
平成13年 前期
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人生にも節がある
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 今年の冬、北陸地方に行ったら、竹が激しい冬の風にさらされて狂うように乱れていた。その幹は決して折れることなく降り積もる大雪に頭を地につけながらも、やがてその雪を振り払って元に戻る。その強さ、しなやかさはどこにあるのだろうか?それは多くの節にある。
 人生にも世の中にも、この竹のような「節目」がある。もし竹に節目がなく嵐に襲われたら一夜にして折れてしまうに違いない。人生もいろいろな問題をしのぐことによって「節目」を作っていくのではないだろうか。
 戦国の世、家康は物心ついた頃から、織田家、今川家の人質生活を体験した。家康の出生地、三河地方の農民は苦労が多く、国には余裕がなかった。家康は人質という逆境生活の中でも「竹の節」のように、決して自己を見失わず、常にじっと世の中の成り行きを見つめながら我慢したのである。「竹の節」のような生き方が徳川二百七十年の基礎を築くことができたと思う。家康は政治屋ではなく、「待ちの政治家」であった。
 不況の世の中、自分の思い通りにならないことは多くあると思うが、「竹の節」のように、耐えてしなやかさを持って、一所懸命努力してがんばることで良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】