戦国新報
 
 
平成12年 後期
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腹を立てない
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 毎日の仕事の中で「腹を立てる」こともなく、できるものならいつもニコニコと笑顔で明るく気分良く働きたいものだが、なかなかそう思うようにいかないものだ。
 時には頭に来て腹の立つこともある。そういう感情が表に出てしまうと周囲に悪影響を及ぼし、周りの人達から敬遠されてしまうような気がする。
 戦国の世、秀吉ほど「腹を立てず」冷静な対応で明るく笑顔を忘れなかった武将はいない。強固な人間関係を築くために、腹を立て相手に恐れさせ、プレッシャーをかけたりしては、かえって良くないと秀吉は言う。相手にプレッシャーをかけ、コントロールしようとすると、必ずその相手から手痛いしっぺ返しが来ると言う。秀吉は信長の元で痛いほどそれを感じていた。
 いつも笑顔で冷静に対応することを心掛けたからこそ、貴重な人材を失うこともなく、秀吉の周りにはいつも人が集まり、強い信頼関係ができたような気がする。それだからこそ天下を取ることができたような気がする。
 世の中、不況だから、楽しいことよりも、おもしろくないことの方が多い気がする。気分が悪いと感情的になって、腹を立ててしまうことは簡単だが、それでは人との信頼関係を築くことはむずかしい。絶えず自分自身を見つめて、笑顔で冷静な対応を心掛けることが大事なような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】