戦国新報
 
 
平成12年 後期
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恩を忘れず…
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 プロ野球も中盤に入り、だんだんおもしろくなってきました。今年の優勝はまだわからないが、今のところジャイアンツが1位である。昨年もジャイアンツは優勝候補であった。多くの資金を使い優秀な選手を集めたが、結局勝てなかった。何の仕事も同じだが、「実績のある選手を集めさえすれば必ず勝てる」という簡単な図式に頼りすぎたしっぺ返しだと思う。その点、昨年優勝のドラゴンズは偉かった。星野監督はタイガースから放出された関川選手と久慈選手を入団させ、二人をうまく使いこなし結局優勝をさらってしまった。二人の選手は自分たちを拾ってくれた星野監督への恩を忘れず、全力をつくしてチームの優勝に貢献したのである。
 戦国の世、武士が出世するには、「一番槍の功名」とか「一番首」とか、腕に自信がある武功がすべてであった。ところが信長は違っていた。これからの時代は「情報」や「築城技術」や「人身掌握」ができる人材が必要なことを見抜いていた。それにうまく応えたのが、貧しい農家のせがれ秀吉であった。秀吉は自分を拾ってくれた信長に対する恩を生涯忘れることなく、やがては信長のナンバー4の武将まで出世した。
 いつの時代も、人の恩を大事にし一生懸命努力することによって、この不況の世の中も良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】