戦国新報
 
 
平成12年 後期
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学ぶことを忘れなかった秀吉
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 人は自信がつきすぎると、自分を自分で評価しすぎて「うぬぼれ」になる人がいる。逆に、自分はまだまだいたらぬ人間であると自覚し、少しぐらいの成功でも「うぬぼれる」事がなく、更に学ぼうとする人もいる。そういう人はますます成長していくような気がする。つまらぬ自信事を鼻にかけ、自慢をし、威張り散らす人もいるが、「実るほど頭の下がる稲穂かな」という諺のように、威張らず、謙虚で、常に多くの人から知恵を借りて学ぼうとする「心がける事」が大事なような気がするが…
 戦国の世、秀吉ほど人の知恵を借り常に学ぼうと「心がけた」武将はいなかった。そして、学びの努力が人を引きつけた。各地を放浪して歩き、やっとみつけた織田家への就職。秀吉は貧しい農家の生まれで、学問も教養も身に付ける時間はなかった。だが、接する人間から必ず何か一つを学ぼうとした。最も多くは織田信長から学んだ。どんな相手からでも自分に勝る点を見つけ出し、学んだ。そんな謙虚な姿勢は生涯変わらず、学び続けて蓄えた巨大な知識と教養が秀吉を天下人に育て上げたと思う。
 いつの世も、能力を身に付けるには学ぶしかないと思う。学ぶ場所は学校だけではない。むしろ、職場こそ知識や知恵の宝庫だ。学ぶ気さえあれば、より厳しい職場の方が能力を身に付けるにふさわしいと思うのだが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】