戦国新報
 
 
平成11年 前期
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笑顔が絶えなかった秀吉
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 朝、五時五十分、事務所の電話が鳴り響いた。FAXである。よく見ると私の一番の友人からであった。寝ぼけ眼で読んでみると「今日も一日笑顔で行こう」という文面で始まっていた。笑顔は「人を明るくする。相手に安心感を与える。仲間が集まってくる。話題を明るくする。健康を作る。生きる望みを与えてくれる。最後に、仕事が集まってくる」と締めくくってあった。ごく当たり前の文面であるが、この暗い世の中、一番の良薬のように思い感動した。
 商売が違っても会社を経営する者同士、友人であり仲間だからこそ、一日の始まりは笑顔だと教えてくれた。早起きは三文の得と言うが、金で買われない友人のありがたさが身にしみ、ねぼけた目から涙のでる思いであった。
 戦国の世、秀吉ほど人を笑わせ、喜ばせた武将はいない。厳しい競争社会において、明るい笑顔は貴重な心の薬であった。気性の激しい信長に怒鳴られ、足で踏まれても、いつも「笑顔」を忘れることなく尽したのである。
 不況の世の中、毎日「笑顔」で、良い事があるんだと思い一生懸命がんばることが大事であるが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】