戦国新報
 
 
平成11年 前期
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犬はかわいがってくれる人には近寄ってくる
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 犬はかわいがってくれる人のところへは何度でも近寄ってくるが、じゃま扱いする人のところへは二度と近寄らない。チャンスについても同じような気がする。
 秀吉はチャンスと見ると、好機は一瞬しかないと判断し行動した。チャンスは後から追いかけても間に合わない。「遅れた戦いに勝利はない」ということである。秀吉曰く、「決断したら一気に攻め、勢いに乗ることがチャンスを生かすことだ」というのである。秀吉の最大のチャンス到来は「賎ケ岳の合戦」であった。柴田軍の乱れに、秀吉は農民達に、「今、勝利すれば、十倍にして返すので、米や豆を出してくれ」と頼んだ。農民達は喜んで要求に応じたが、よく考えてみると変な話である。もし秀吉が負ければ十倍のほうびは出ない。だが、秀吉は「この戦は我の勝ちじゃ」と叫んで側近や農民達をその気にさせたのである。チャンスだと判断し「勢いを演出する」ことが大事なのである。
 不況の世の中、素早い判断と決断でチャンスを生かすことが大事であるが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】