戦国新報
 
 
平成10年 前期
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七難八苦を祈る
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 人は神仏に祈る場合、利益を願い、幸せを願い、あるいは健康を願ったりすると思いますが、「七難八苦」を与えて欲しいと願う人はほとんどいないと思う。
 戦国時代、出雲地方を支配していた尼子家に山中鹿之介という武将がいた。毛利元就によって滅ぼされた尼子家を再興し、宿敵元就を倒すために、鹿之介はいつも「我に七難八苦を与えたまえ」と神に祈ったという。部下が不信に思い訪ねると「人間の心、人間の力は実際に困難に出会ってみないとわからないものだ。だから常に困難に直面して自分の力をためしてみたいのだ」と答えたという。毛利氏は勢いのある大国、それに対して尼子家の残党はわずかしかいない。ほとんど勝ち目のないことを考えれば、ともすれば心がくじけそうになる。そうした自分の心を励まし、新たな勇気を奮い起こすためにも「七難八苦を与えたまえ」と祈ったような気がする。 不況な世の中、誰でも事にあたり、不安を感じ動揺することがあるような気がする。そこから自分を励まし勇気を奮い起こすということが経営者にとって大事なような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】