戦国新報
 
 
平成10年 前期
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物事を長い目で見る
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 不況な世の中、目先の利害にとらわれず、長い目で物事を考えるのが大事なような気がするが… 信長が本能寺で光秀に討たれた時、秀吉は備中高松城を囲んでいた。その一報が入るやいなや、ただちに毛利と和睦し、とって返した。その後、信長の死を知った毛利方では、和睦を破棄して秀吉軍の追撃をするべきとの主張が強かった。そんな中、毛利方の副将小早川隆景はこう主張した。「戦乱が百年も続いたが、だんだんおさまる時期に来ている。秀吉を見ると立派な人物で、信長亡き後の天下は自然にこの人物のものとなる。毛利家の存続を望むなら、秀吉とともに栄えて行くことを考えるべきだ」そういって主君、毛利輝元や吉川元春を説き伏せた。 秀吉は隆景の言った通り光秀を破り、天下統一への道を歩き始めたが、このことを後に聞いた秀吉は、深く感謝し、毛利家や隆景に厚くむくいたという。
 不況な今の時代だからこそ目先の利害に、つい目がいくものだが、あせらず長い目で物事を見ることが大事なような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】