潔い義将
自分で失敗した時、失敗を認めないで言い訳したり、さらに他人のせいにしたりする人は「潔さ」がないと思うが…。
戦国の世、川中島で五回も戦を繰り返したが決着がつかなかった謙信と信玄。信玄は隣国今川義元と同盟を結んでいたが、同盟を取りやめたために自国に「塩」が入ってこなくなった。大変困った信玄。この噂を聞いた謙信は信玄に「貴公とは弓矢を交えている敵でもあるが、領民が塩で困っているようだから今後は越後からどんどん塩を送るから心配するな…」と書状を送り、甲斐の領民を助けた。信玄は義塩のうれしさに涙を流した。その後、謙信と信玄は戦いをすることがなかった。「敵に塩を送る」義塩の話は、謙信が「潔い」決断力のある義将であったことを物語っている。
いつの世も、現代風で解釈すれば「潔い」ライバル同士の友情だと思うが、なかなかむずかしい。(平成三十一年三月十日)