「まさか」の油断
「逆境の時に成功のチャンスが生まれ、順調な時に失敗の芽が育つ」という有名な言葉があるように、順調に進んでいる時に安心して、ややもすれば油断して小さな問題が起きることがある。人はいくら気を引き締めていても油断は禁物だが…。
戦国の世、「戦いは六分か七分の勝ちで十分だ」と信玄は部下たちの前で言った。勝ちすぎる戦いには必ずどこかに油断が生じる。油断の恐ろしさを十分に知っていたからこそ部下達に緊張感を持たせるためにも言った。
その信玄の息子勝頼を滅ぼした信長は天下を目の前にして本能寺で信頼していた部下の光秀に倒された。その原因は「まさか」の部下に対しての油断から生まれた出来事だった。
いつの世も、常に緊張感を持って油断することなく、人の話によく耳を傾けて懸命に努力してがんばることが大事だと思うが、なかなかむずかしい。(令和六年二月十八日)