平成8年
前期
自分の苦労を部下には見せず
底抜けに明るかった秀吉
秀吉は、いつも夢を抱き、くよくよせず、人前では決して苦労の跡を見せず、反対に人を楽しませることが好きだった。
もし秀吉が武士の家に生まれていたなら、天下は取れなかっただろう。百姓の子として生まれ、子供の頃から流転の人生があったからこそ、世の中を知り、人間を知ることができた。
秀吉が信長に仕え、ハングリー精神で出世していく過程は、それまでの武士階級にはマネのできないユニークな生き方だったのである。
今でいえば、キャリア社員がほとんどの織田会社にノンキャリアとして採用され、人の嫌がる仕事を積極的にこなして、見事に信長の眼にかなったのである。
不況な今の時代も、会社経営者は秀吉のようにいつも笑顔で明るく楽しく一生懸命努力することが、周りの部下達にもヤル気をおこさせ、会社に対しての安心感もわいてくるのではないだろうか。だが現実はなかなかむずかしい。
【文：高田 金道】
