戦国新報
 
 
平成8年 後期
もどる
悪口を言われて喜んだ秀吉
すすむ
 秀吉は、廻りの武将達から悪口を言われても、批判されても、心底からニコニコと笑って喜んでいた。悪口を言われても、冷静に客観的に「素直」に物事を考え、また批判される理由を考えるようにすれば、対応策が立てられ、反省もできると、秀吉は常々部下達に教えていた。
 信長に「サル、お前は他人からなんだかんだと言われるのう」と言葉をかけられると、秀吉は「他人が悪口、批判を述べてくれるのは、自分の成長のため。殿の言葉を信じ、忠実に守り、道を誤らず、一生懸命に努力し、励むことが織田家のため、自分のためになるのです」と応えた。信長は秀吉の言葉を聞き、旧重臣よりも素直な秀吉の人柄を信頼し、仕事を多く与えてその活躍に期待した。
 また、秀吉は信長にほめられると素直に感情丸だしでおおげさに喜んだ。ほめて喜んでくれるとほめた方も気持ちがいい。「サルめ、あの愛嬌者」と信長は他の武将達よりも、秀吉に益々仕事を与えた。
 今の時代も、なるほどと思うが、人に悪口を言われ、なかなかしっくりといかない。秀吉のように割り切ればいいのだが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】