戦国新報
 
 
平成7年 前期
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領民の声は神の声
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 秀吉は天下を取らせた名参謀、黒田如水がこういうことを言っている。「神の罰よりも主君の罰の方が恐ろしい。主君の罰よりも、領民の罰の方がもっと恐ろしい。なぜか、神の罰は祈りによって免れる。主君の罰はわびて許しを受けることができる。しかし領民にうとんぜられては、祈ってもわびてもどうしようもない。その結果、必ず国を失うだろう。だからこそ一番恐ろしいのだ」
 要は、神のごとく世間の声を聞き、正直にそれに従って行かなければならないということである。そうすれば世間は暖かい目で受け入れてくれるのであり、決して恐れることはない。恐るべきは、その道からはずれることである。如水は、この考えを秀吉の天下取りの参謀として、その根底に持っていたようである。
 学歴よりも学力。体格よりも体力。家柄も学歴もない貧しい農民から身を立てた秀吉も、常に人の心の痛みを考え、領民のことを思いながら、平和な国づくりを行ったのではないだろうか。
【文:高田 金道】