戦国新報
 
 
平成7年 前期
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三成の気配りと親父の満足感
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 石田三成と秀吉の出会いには有名なエピソードがあります。三成がある寺に預けられていたころ、秀吉は鷹狩りの途中にその寺に立ち寄り、お茶を所望した。
 三成は大きな茶碗にぬるいお茶を七、八分目ほど入れて差し出した。秀吉が「もう一杯」と求めると、今度は少し熱いお茶を茶碗に半分ほど入れて差し出した。さらに三杯目を求めると、今度は小さな茶碗に熱いお茶を入れて差し出したという。最初のぬるいお茶はのどが渇いておられるようだから、一気に飲めるようにとの気配り。二杯目、三杯目はゆっくりお茶を味わいながら召し上がれるようにとの気配り。秀吉はその才気に感心して、三成をとりたてたといいます。
 共働きの今の時代、夫も妻もせめて家の中ではゆっくりとくつろぎたいものです。三成のお茶の気配りとはいわないまでも、お銚子一本の気配りがとりもつ家族の団らんで、また明日への活力が生まれてくるのではないでしょうか。
【文:高田 金道】