戦国新報
 
 
平成7年 後期
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将来を見通した、迷う一発勝負
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 浅倉義景を討つため越前敦賀に猛攻撃を加えた織田信長は、突然窮地に追い込まれた。中立のはずの近江の浅井長政が浅倉と同盟し、信長を背後から攻める行動に出たのである。信長は急ぎ死地をさまよう馬上の人となったのである。その時「しんがりの指揮、ぜひともこの藤吉郎におまかせください」信長はこの思いがけない申し出に驚き、藤吉郎の目に死を決した気迫を感じるや、「あとはまかせる。死ぬなよ、猿」と声をかけ馬を走らせた。
 藤吉郎は自殺にも等しい己の決断にすべてを賭けたのである。藤吉郎は退却の遅れていた、後に敵対することになる明智光秀軍と協力し、無事逃げ帰ることができたのである。
 ここ一番の決断が成功すれば、人間関係に強い信頼感と結束力が生まれる。リーダーの姿が大きな頼もしい存在としてイメージされ、統率力は一挙に高まる。従う者達は物事へのためらいをなくし、色々な挑戦を開始するようになり、大きな自信につながるようである。
【文:高田 金道】