オレ流の中日の落合監督が５３年ぶりに日本一にか輝いた。そしてＭＶＰは、何とどこの球団でも取らなかった中村紀洋選手だった。テスト生で年俸５００万足らずで入団した中村は、高卒で入団した選手よりも安い年俸だった。近鉄時代は不動の４番バッターとして、年俸も４億であった。特別な取り扱い選手で本人もまたわがままなところがあった。落合監督は中村を育成選手として入団させ、プロの世界は競争心がなくなれば終わりだというプレッシャーを教えた。
　失敗するとすぐに二軍に落第させ、「だからお前は５００万足らずの選手なんだ」とハッパをかけた。悔し涙を流しながら中村は必死の覚悟でプレッシャーに耐え、ついには日本シリーズで中日の優勝の原動力となり、その姿はＭＶＰに輝いた。
　常にプレッシャーを与えて、初心に戻る事を教えたオレ流。落合監督の育て方も立派だが、そのプレッシャーに耐えて、死に物狂いで「おごり」を忘れて頑張った中村も立派だった。優勝の瞬間、感激と感動とそして感謝の気持ちで中村の目から涙が止まらなかったのが印象的だった。
　プレッシャーに耐えて物事を成し遂げるということは、言葉で言うのは簡単だが、実際に行動に起こすとなると、なかなか簡単なようでむずかしいことだ。