戦国新報
 
 
平成17年 前期
【 H17.6.5】
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信頼関係
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 他人を利用する人もいれば、利用される人もいる。利用して「得」をする人もいれば、利用され「得」をする人もいる。利用して要求が満たされれば、すぐにお払い箱にする人もいれば、反対に利用され親密な関係になる人もいる。
 戦国の世、浪人の身から信長に拾われ、織田家ナンバーワンの地位まで出世した明智光秀。信長の信頼も得、天下統一のため一所懸命に努力してがんばったが、信長の激しい気性と部下を使い捨てのように扱うことに、次第に不満を持つようになった。自分も必要がなくなれば、捨てられることに気づき、その不満が敵意に変わり信長から心が離れていった。ついには「敵は本能寺にあり」と、光秀の一声が信長の天下統一の野望を打ち砕いた。
 誰の目から見ても、光秀は「恩を仇で返した」裏切り者としか見えないし、信長も天下統一の目前で、部下に倒されたことは無念であったと思うが、その原因はやはり信長自身に問題があったと思うのだが…。
 いつの世も、人生は利用したり利用されたりの繰り返し。お互い他人のためにつくしてこそ、強固な信頼関係が生まれるような気がするが、なかなか世の中むずかしい。

【文:高田 金道】