戦国新報
 
 
平成15年 前期
【 H15.1.12
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心構えがひとつ
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 「失敗は成功の元」ということわざがあるが、失敗の教訓を活かすことはなかなかむずかしい。それを活かすことができる人は普段からの「心構え」が違うような気がする。反対に同じことを何回も失敗する人は仕事に対する「熱意」がないような気がする。
 戦国の世、家康にとって生涯だた一度の敗戦がある。武田信玄との三方ヶ原の戦いである。若干三十歳の家康一万二千、五十三歳の信玄二万五千、無敵の騎馬軍団との激突である。結果は家康の惨敗であった。家康の敗戦は若さにあった。過去の戦での勝利からの「自信とおごり」から信玄という武将の恐ろしさを、調べもせずに「思い上がり」が敗戦につながったようだ。だがその後、この時の敗戦を深く反省し、信玄を師と思い、信玄の戦術、戦法を学び取ったのである。
 その後、天下分け目の関ヶ原の合戦では、三方ヶ原での信玄の戦法をそっくり利用して勝利し、天下を取り徳川二百七十年の基礎を作った。失敗を教訓にして成功に導いた家康の常日頃の「心構え」から生まれたのである。
 不況の世の中、他人の良いところは大いに学び、自分の失敗は大いに反省し、一所懸命がんばる「心構え」が大事なような気がするが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】