戦国新報
 
 
平成14年 後期
【 H14.9.8
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素早く頭をきりかえる
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 嫌なことにぶつかったら、どうにもならないもうだめだと頭を抱えて問題から逃げるか。あるいは、これではだめだと、問題に立ち向かうことに頭をきりかえられるか、なかなかむずかしいことだ。
 戦国の世、信長、本能寺で光秀によって倒されたという情報が、中国地方で毛利方と戦っていた秀吉の耳に入ってくる。この時、秀吉はどうすればよいか迷う。秀吉、目の前が真っ暗になり思わずしりもちをつき、声をあげて泣いた。自分を百姓から大名まで抜擢してくれた主人である。もうだめかと思う。そして毛利方に知れたらなお大変だ。
 だが、すぐに秀吉は、もしかすると天下取りのチャンスかもしれないと頭をきりかえ、ピンチをチャンスに変え、奮起する。すぐに毛利方と和睦し、中国大返しで一週間で明智軍と山崎の合戦で対峙する。そして一日でこの戦いに勝利し、秀吉の将来が決定する。こうした問題の「きりかえの早さ」こそ秀吉の天下への足がかりとなった。
 今の不況の世も、今までの考え方を固定化するのではなく、今の世にあった「頭のきりかえ」をすることによって、もしかすれば良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしいことだ。

【文:高田 金道】