戦国新報
 
 
平成14年 後期
【 H14.12.1
もどる
油断から…
もどる

 物事が順調に進んでいる時は安心して油断してしまう。その時小さなミスが生じる場合がある。
 「逆境の時に成功のチャンスが生まれ、順調な時に失敗の芽が育つ」という有名な人の言葉があるように、ややもすれば小さな問題が起こりつつある。人はいくら気をつけていても、油断はつきものだし、油断しないで過ごせる人はいないと思うのだが…。
 戦国の世、武田信玄は部下の前で「戦は六分、七分の勝ちで十分だ」と言った。勝ちすぎる戦は必ずどこかで油断が起きる。油断の恐ろしさを十分知っていたからこそ、部下に緊張感を持たせるためにも勝ちすぎるとダメだと言ったのである。その武田家を倒した信長は、天下を目の前にして部下の明智光秀に本能寺で倒された。その原因は、本能寺に宿泊した時に、わずかな兵しか置かなかった油断から生まれた出来事であった。油断ほど恐ろしいものはない。
 いつの世も、うぬぼれることなく、常に謙虚に緊張感を持って油断することなく、人の話しによく耳を傾け、一所懸命がんばることが大事なような気がするが、なかなかむずかしいことだ。

【文:高田 金道】