戦国新報
 
 
平成11年 前期
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ヤル気とチームワーク
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 信長は部下を集めて「戦場で使う槍は長いのと短いのとどちらが得か」と問いただした。槍奉行の上島主水は「槍のプロ」らしく短いのが有利だと言った。信長は「サルはどう思うか」と秀吉に聞いた。秀吉はニヤニヤ笑いながら「長い槍に限ります」と答えた。実戦論者の信長はさっそく、双方に五十人ずつ、槍の使い方を知らない足軽を与え、四日目に城の庭で勝負しろと言った。かくして槍騒動の始まりである。
 上島プロは一人一人に槍の使い方を教えたが、なかなか三日間ではうまく伝わらず、最後は怒鳴ったり殴ったりしてわめいた。上島方の足軽達は頭にきてわざと負けてやろうと語り合った。
 秀吉は三日間、槍の練習などせずに足軽達を家に集め朝から晩まで酒盛りをしただけであった。秀吉は「信長様は天下に向かってがんばっている。いままでのように刀や槍を振り回し、「ヤアヤア」と声を張り上げても戦には勝てない。槍も集団でチームワークよくお互いに助け合わなければ効果がでない」と語った。足軽達は酒のおごりもあって、秀吉の話によく耳を傾け納得し、明日の試合は必ず勝ってみせるとヤル気をおこした。試合は秀吉方の圧倒的な勝利に終わった。
 今の不況の世も大変であるが、仕事は組織のチームワークが大事なような気がするが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】