戦国新報
 
 
平成11年 後期
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ふたつの耳
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 「神様は人間にふたつの耳とひとつの口を与えた」これは何を意味しているのだろうと思ったら、「自分がひとつ言ったら他人の話をふたつ聞き、さらに耳が両側についているのは、他人の意見をうのみにするのは危険だから、必ず反対の意見を聞きなさい」ということだそうです。最近は世の中が忙しいせいか人の話をよく聞かない人が多いような気がする…。
 他人からいろんな話を聞くと、それだけ知識も得ることができるし、自分の仕事にプラスになるような気がする。しかし、自分が話すだけの一方通行では、いろんな知識は得られない。他人の話をよく聞くということは他人のためではなく自分のためになるような気がする。
 戦国の世、秀吉ほど他人の話をよく聞いた武将はいない。右の耳には竹中半兵衛、左の耳には黒田官兵衛というすばらしい二人の軍師がいた。二人の話をよく聞き、意見を聞き、よく勉強した。二人の軍師もまた秀吉のために一生懸命努力して励んだ。
 素直な気持ちで他人の話をよく聞き、知識と教養を得て、ついには百姓の倅が天下人になった。
 不況の世の中、明るい笑顔でいろんな人と出会い、いろんな人の話をよく聞くことで、良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】