戦国新報
 
 
平成9年 前期
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自分に「目付け役」をつけた毛利元就
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 他人の背中はよく見えても、自分の背中は見えない。他人の欠点は目に付くが、自分の欠点はなかなか自分では見つけられない。「人のふりみて我がふり直せ」とよく言われるが、なかなか実行できないものである。
 毛利元就は自分の最も気心の知れた友人に「目付け役」を頼んで自分の欠点あるいは勘違いを指摘してもらい、素直な気持ちで改善に努めた。
 領主として自分の欠点や勘違いに気づくことなく、自分の思うままに行動していれば、やがて欠点が大きくなり、人々に嫌われ、毛利家は孤立してしまい滅んでしまうだろうというのである。この心得があったからこそ、小豪族から百二十万石の大大名になれたのだと思う。
 今の時代も同じで、自分の欠点を見つけることはたやすいことではないが、素直に人の意見や忠告に耳を傾け、ヤル気を持って行動することが大事だと思うのだが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】