戦国新報
 
 
平成9年 前期
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「聞き上手」は情報通
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 他人の話を聞く場合、自分の仕事とは無関係な話として聞く人と、どんな話でも自分のためになる話として聞く人では大きな違いがある。こういう人を「聞き上手」という。「聞き上手」な人は、人の話をいつも反省論として、あるいは教訓として聞き、お客様に営業で訪ねた時にそれを話題として提供する。
 秀吉は天下統一した時、「諸国を回り、民の悩みを聞き、苦しみを見聞して、それを政治に生かしたい」と言いだした。ところが前田玄以という武将が「どのようなあばれ者が殿下を襲うかもしれません。ご遠慮した方が良いのでは」と言いだした。すかさず秀吉は「日本は今、我が手の中にあるようなものだ。我に敵する者がいるのか」と言い「庶民の声をよく聞くことによって、国を治める方法を考えていかなければならない」と反論した。
 農家の倅が苦労して手にした天下。秀吉は他人の話を良く聞き、人の心の痛みをわかり、それらを教訓として国を治めたのである。
 今の世の中も他人のいろいろな情報を、良く聞くことによって、良い考えが出るような気がする。だが、なかなか、むずかしい。
【文:高田 金道】