戦国新報
 
 
平成9年 後期
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人は性格によって人生が変わるような気がする
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 性格の違いで二人の武将の運命は大きく変わった。それは秀吉と光秀である。信長は天才的な武将であっただけ、性格も厳しく、部下に対するふけさめも大きかった。しかし部下の登用については格式や家柄等関係なく能力主義であった。
 中途採用で大抜擢された光秀と秀吉であったが、秀吉は信長の天才的な軍略に心服していたので「サル」とか「はげねずみ」と、からかわれても、それを根に持つこともなく、信長の長所だけを吸収しようと努力したのである。いわゆる「美点凝視」の性格である。
 一方光秀は名門土岐源氏の血筋で教養もプライドも高かった。信長の天才的戦略には一目も二目もおいていたが、信長の思考や行動をやや批判的に観察していた。そして信長の度重なる短気な行動に耐えきれず、「本能寺の変」を起こしたのである。
 その後、そんな光秀の性格には自分の配下の武将達さえも協力しなかった。むしろ秀吉の性格に賛同した武将が多かったのである。
 一芸に秀でる人ほど個性が強く、長所よりも短所が目立つと言われるが、長所と短所があるのが人間。上司を「嫌な人だな」「苦手な人だな」と思ってばかりいると、仕事もつまらなくなり、うまくいかない。また人を使う場合、いちいち短所ばかりみていたら使える人はいなくなるような気がする。部下の長所のみを忍耐強く見るように努め適材適所に使いこなすことが大事なような気がする。だがなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】