戦国新報
 
 
平成8年 後期
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プライドがそんなに気になるか
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 秀吉と光秀は織田家家臣団の同僚として、お互い助け合い、織田家のために励んだ。
 光秀は秀吉のことをできた武将と誉めたたえ、秀吉もまた、光秀のことをすばらしい才能の持ち主だと評価している。
 しかし、光秀は信長に嫌われ、秀吉は気に入られ、双方の生き方は大きく変わってきた。その原因はプライドにあった。プライドを気にせず「サル」と呼ばれ「へい、へい」と明るく相手に窮屈感を与えない秀吉。「キンカン頭」と呼ばれ「カチン」と頭にきてしまうプライドの高い光秀。この違いが二人の運命を大きく変えてしまった。 プライドを捨てきれなかった光秀は信長の側近からはずされた。信長の草履取りからやとわれ、信長から生活を保障してもらっているという感謝の気持ちで、プライドを捨てて懸命に働いた秀吉は、その謙虚な姿勢から益々気に入られ仕事を与えられた。
 信長が光秀に倒された後、「ポスト信長」をめぐって周りの武将達は、光秀につくか、秀吉につくかを選択された。
 プライドの高い光秀は親戚からも、頼りにしている武将達にもことごとく見放された。 逆に秀吉の周りには続々と武将達が集まってきた。常にプライドを捨てて、人に頭を下げ「わしは百姓の出だから」と言い続けた秀吉に、周りの武将達も安心して心を許した。
 いつの世もプライドを捨てた人と人とのつながりが一番大事なのではないだろうか。不況な時代も人とのつながりがいろんな情報につながる。だがプライドを捨てるということはなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】