戦国新報
 
 
平成7年 後期
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いそがしい時ほどゆとりを保つ
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 秀吉が小田原の北条氏を攻めた時の話である。戦いが長引き、武士達は退屈していた。ある陣では芸能にうつつを抜かし、またある陣では土を耕して畑を作っている武士がいた。秀吉の側近達は皆、怒った。「合戦をなんだと思っているんだ…たるんでいるのではないか。」
 しかし秀吉は首を振った。「お主達の了見はせまい。あの連中はゆとりがある。かえって立派なものだ。長い合戦の中で退屈しないように、ああしておのおのが自分の好みを生かしているのだ。お前達も見習え。」
 今の世でいう「仕事人間」ではだめで、どんな忙しい状況に置かれても自分なりにゆとりを発見し、実行する精神が必要だということである。
 ゆとりを持つことによって良い知恵が生まれるし、また次の仕事へのステップにもなるのではないだろうか。
【文:高田 金道】